会社が突然倒産した場合の資産分配|一般客に返金はある?

★ お気に入りに追加

会社が破産すると、従業員だけでなく、取引先の会社や一般利用客(顧客)など、多方面へ多大なる影響が及びます。

会社が破産した場合、残った資金は債権者(お金を貸している人)に分配されます。
どの債権者がどういう順番で債権回収を行うことができるのかが気になるところですが、実は、一部の債権者にはほとんど弁済されません。

ここでは、かなり複雑と言われる「破産会社の資産(債権)の分配方法」をご説明します。

1.会社破産手続きの流れ

分配の仕組みを理解するにあたり、まず、一般的に会社破産はどのような手順で行われるのかを説明します。

①破産手続きの弁護士へ依頼
②申立の準備
③破産申立・破産開始決定
④破産管財人との打ち合わせ
⑤債権者集会
⑥債権者へ配当

会社の破産手続きは、専門家なしに行うことはほぼ不可能です。債権者や従業員など多くの利害関係人が絡むため、弁護士などの専門家に最初に相談することになります。
①弁護士依頼の段階で、弁護士から「受任通知」が債権者に送られ、支払請求がストップします。

次に、②破産申立の準備に入ります。書類を作成するだけでなく、ここで従業員の解雇を実施します。

そして、③破産の申立を裁判所に行います。
破産開始と同時に破産管財人を決定し、その後は④破産管財人に負債の状況などを説明し、資産が回収されることになります。

その後、⑤債権者集会が行われ、最後に⑥配当という形で資産が割り当てられ、破産手続きは終了します。

こちらでは簡単な説明にとどめていますが、破産の流れについて詳しく知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事
会社法人が倒産したら|破産手続きの概要と流れ
企業の「倒産」という言葉はネット記事やニュースなどでよく耳にします。 特に最近であれば、新型コロナウイルスの影響によ…[続きを読む]

2.債権者への弁済の優先順位

破産事件においては、「借金を残して破産をした相手から、だれがどういう順番で、どのぐらいの債権を回収できるのか?」が重要になります。

破産した債務者は、自己の所有財産をすべて手放す(具体的には換金して債権者に分配する)ことを条件として、返済できなくなった債務については返済義務を免れることになります。
債務者は、破産手続きを開始した時点ではある程度の財産を保有している可能性がありますから、その残された財産をどの債権者がいくらぐらい取り分として受け取ることができるのか?が問題となるわけです。

特に、債務者が営利の事業者である場合には、事業用の資産や未回収となっている売掛金などが現金化されることなく残されている可能性がありますから、これらの財産からいかに債権を回収するかが重要な問題となります。

破産手続きは裁判所を通して行う手続きですから、それぞれの債権者が個別勝手に債務者の財産に手を付けることはできません。この債権者への財産分配についてのルールは、破産法という法律が定めています。
この債権など資産の分配方法が、かなり複雑なのです。

以下、簡単にご説明します。

2-1.「債権者はすべて平等に扱われる」のが大原則

破産法によると、破産した債務者の財産についての債権者の劣後関係は、「すべての債権者が平等に扱われる」という「債権者平等の原則」が大原則となります(破産法第194条第2項など)。

しかし、原則である以上は例外があります。つまり、優先的に債権を回収できる債権者がいて、実際の分配ではこの例外のほうが問題となるケースが多いです。

債権者平等の原則の例外として、優先的に回収することが認められる債権を以下で解説します。

2-2.債権の種類

まず、弁済すべき債権を別除権、財団債権、破産債権にわけることになります。
この中で一番優先的に配当されるのは、別除権です。自己破産手続きを待つことなく優先的に回収することができる権利で、抵当権などを有する債権者(別除権者)が優先的弁済を受けることができます。
次に優先配当されるのが、財団債権です。財団債権は、未納となっている税金や社会保険料の他、破産手続きを行う上で発生する費用や予納金などの支払いに充てる財産になります。従業員の未払い給料の一部もここに含まれます。
そして、最後が破産債権となります。

この破産債権においても配当の優先順位があります。破産債権の種類は3つあり、優先的破産債権、一般破産債権、役定劣後的破産債権となります。

債権の種類 債権の内容
別除権 抵当権などの担保
財団債権 ・未納となっている税金や社会保険料
・破産管理人に支払う報酬や破産手続きを行う上で発生する費用・予納金
・破産手続開始前3ヶ月分の未払い給料、退職前3ヶ月間の給料の総額に相当する退職金
破産債権 優先的破産債権 税金や国民年金保険料、共益費や未払い給料などの雇用関係(破産法98条1項)
劣後的破産債権 破産手続開始後の利息、遅延損害金、延滞税・延滞金、破産手続開始後の原因に基づく租税等(破産法99条1項、97条1項1号-7号)
約定劣後的破産債権 破産者と債権者との間であらかじめ、破産になった場合に配当順位が劣後的破産債権よりも後順位になることの合意がある債権(破産法99条2項)

このように、配当は、なかなかややこしいシステムになっています。
簡単にいうと、担保をもっている債権者が優先的に分配され、その後に一般の従業員などに配当されることになります。

2-3.一般客への返金は僅か

優先弁済が行われるのは、抵当権などの担保をもっている債権者となります。そして、その次が破産管財人に支払われる報酬など。その後、公租公課などの税金、従業員の未払い給料となります。

BtoC向け事業(個人顧客)会社の一般客の債権は、一般破産債権の扱いとなるため、残念ながら「劣後債権者」となってしまいます。

【旅行会社「てるみくらぶ」の例】
2017年に破産した「てるみくらぶ」では、被害者となる一般旅行者への返金率はたったの3.5%でした。
つまり、20万円の旅行代金を支払った人は、返金されても7,000円程度となってしまったのです。
しかし、てるみくらぶの場合、クレジットカードで支払いをしており未出発であった顧客に対しては、クレジットカード会社が独自で全額の返金を行なったケースもあったようです。

3.代表者や役員の責任問題

一般顧客には、破産後の会社の資産のほとんどが返金されないということが明らかになりました。
では、返金措置や配当以外の他に、代表者や役員の責任を追及する手段はないのでしょうか。

考えられる手段としては、以下の2つの方法があります。

2-1.民事請求としての損害賠償請求

まず、会社に対し、債務不履行・不法行為に基づく損害賠償請求(民法416条1項、709条など)を行うことが考えられます。
しかし、実際のところ、既に破産申請をしてしまっている会社と裁判で争っても、相手の会社には資産がないため、返金される可能性はかなり低いといえます。

また、会社に支払った額が多くて数十万円である場合などには、弁護士費用や裁判にかかる労力から尻込みしてしまう方が多いと考えられます。

2-2.刑事責任の追及

ケースによっては、民事責任と比べ、刑事責任を追及することの方が可能性が高いといえます。

例えば、会社が以前から大幅な赤字に陥っていたのにもかかわらず、費用を過少計上するなどして内容の異なる決算書をいくつか作成していたという事実がある場合、破産会社は特別背任罪に問われる可能性があります。
また、仮に決算書を元に新規の融資を受けていた場合は、詐欺罪としての立件も考えられます。
(※2018年2月、警視庁は、資産隠しによる破産法違反(破産詐欺罪)の容疑でてるみくらぶ社長を再逮捕する方針を固めました。)

このように、民事責任の追及は難しいといえそうですが、刑事責任の追及の可能性は高いといえるでしょう。

4.利用者が気をつけるべきこと

企業が倒産した場合、一般客は突如としてありえないほどのリスクを負う可能性があります。

一般顧客として、旅行会社、エステサロン、結婚式会社など、効果の買い物をする際の会社選びの基準を考えておきましょう。

まず、価格のみで決めないことです。
安いからといって、1社で即断せず、いくつかの会社を比較して決めることをおすすめします。仮に、申し込もうと思っている商品が他の業者と比べて安すぎる場合は、適正な価格でない可能性もあります。

また、自分自身でしっかりとリスクを考慮した上で決断するようにしましょう。会社の破産の予兆というものは何かしらがあるはずですので、値段のみで即決せず、慎重に判断することが大切です。

Cafeおすすめ! 【全国対応】債務整理に強い弁護士
シン・イストワール法律事務所
シン・イストワール法律事務所

【全国対応】お客様の借金の状況を細かくお伺いした上で、最適な債務整理方法をご提案いたします。

【全国対応】お客様の借金の状況を細かくお伺いした上で、最適な債務整理方法をご提案いたします。

借金に関する悩み事は、家族にすら話しにくくて一人で抱え込んでおられる方もいるかと思います。そんな方の借金問題を最適な方法で解決して、人生を再出発できるようしっかりとサポートいたします。
お電話でのお問い合わせはこちら
050-5267-6263
[電話受付]毎日 9:00~21:00
電話で相談する 弁護士詳細情報はこちら 弁護士詳細情報はこちら

債務整理に強い弁護士が無料相談いたします

借金返済ができず、滞納・督促でお困りの方は、債務整理に強い弁護士にご相談ください。自己破産、個人再生、任意整理、過払い金請求、法人破産などで、借金問題を解決できる可能性があります。

弁護士に相談することで、以下のような問題の解決が望めます。

  1. 毎月の借金の返済が苦しい/借金が一向に減らない
  2. 債務整理したいが自宅だけは手放したくない
  3. 連日の督促・取り立てで精神的につらい
  4. 会社が倒産したので破産処理をしたい

債務整理に強い弁護士に相談・依頼することで、厳しい督促が止まり、難しい手続きもサポートしてもらえます。

1人で悩まず、今すぐ債務整理に強い弁護士にご相談ください。

都道府県から債務整理に強い弁護士を探す

この記事が役に立ったらシェアしてください!