約120年ぶりの民法大改正!法定金利が改正され年3%の変動制に
企業や個人間の契約に関する基本的なルールを定めている民法の、債権関係に関する規定が、2017年5月26日の参議院本会…[続きを読む]
「過払い金」とは、簡単に言うと、消費者金融などの貸金業者に対して「利息を払いすぎたため、返してもらえるお金」のことです。
借金をすると元金の返済と合わせて利息も支払う必要がありますが、利息制限法を超える利息分を支払っていた場合は、本来支払う義務のない過剰な支払いをしていたことになり、その払い過ぎた分を返還してもらう権利があります。
そのための請求をすることを「過払い金返還請求(過払い金請求)」といいます。
ここでは、過払い金発生の仕組み、過払い金返還請求の流れ、返金方法、請求期限、弁護士へ依頼するメリットなどについて紹介していきます。
目次
そもそも、貸金の利息については利息制限法1条1項に法定利率が設定されており、それぞれ下記の法定利率を超える利息をとった場合は「無効」になると規定されています。
元本の金額 | 年間の法定利率 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
これらの法定利率を超えて利息を払った場合は、その超えた分については例え支払う人が同意していたとしても無効となります。
【なぜ法定利率を超える利息をとっていたのか】
そもそも、なぜ貸金業者は法定利率よりも高い利息をとっていたのでしょうか?
これには利息制限法と似たようなことを規定している「出資法」に原因がありました。
現在はすでに改正されていますが、当時は、出資法においては約定利率が最高上限29.2%という高い利息を設定しており、これを超えた場合にのみ刑事罰を科していました。これに対し利息制限法では、そのような罰則規定はないため、たとえ、利息制限法10万円未満の貸付上限利率である20%を超えていても、出資法上の上限である29.2%を超えなければ罰せられませんでした。
この出資法上の上限利率(29.2%)と利息制限法上の上限利率(15~20%)の誤差は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、過払い金請求を発生させる発端となってしまったのです。
過払い金返還請求の対象となる可能性が高い人は、2006年(平成18年)の法改正の前に借入をした人です。
特に、長期間にわたって返済を続けている人、またはその後返済を完了した人は、過払いが生じている可能性が高くなります。5年~10年程度の長期で返済を継続している場合は、要確認です。
逆に、2006年の法改正以降に初めて借入をした場合には、過払い金が生じている可能性は低くなります。
実際に過払いが発生しているかどうかはケースバイケースとなりますので、ご自分の状況を詳しく知りたい場合は、弁護士に相談されてみると良いでしょう。
また、自分だけでなく親族が亡くなった場合などに、故人が過払いをしていたケースもあります。ご注意ください。
過払い金返還請求は、本来は支払う必要のなかったものを支払っているだけですから、自ら貸金業者に連絡をしてその返還を求めれば済む話と考えがちです。
しかし、金融機関側としても、大量の過払い金返還請求が起こるとその引当金が不足するなど、事業の根幹に影響を及ぼすため、本人が電話をして返還を求めたくらいでは返還に応じてくれません。
過払い金返還請求を自分でやること自体は全く問題ありませんが、実際にできるかは別問題です。
実際に過払い金返還請求をする際には、最低限以下のような手続きが必要となります。
過払い金の返還を請求するためには、大前提の条件として「いくらの過払い金があるのか」をこちら側で立証しなければなりません。
この過払い金の計算を「ひき直し計算」といいますが、これが非常に大変な作業となります。
まずは、該当の貸金業者に過去の取引期間の記録の開示を求めた上で、その資料をもとに計算を行ないます。
しかし、計算は素人にはかなり難しいため、基本的には専門家である弁護士・司法書士に依頼するべきでしょう。
過払い金の金額が判明したとしても、それによってすんなり貸金業者が返還に応じてくれるわけではありません。特に相手が弁護士ではないと、なおさら強い態度に打って出てくる業者もあります。
貸金業者との交渉は、弁護士でないと事実上は難しいと言わざるを得ないでしょう。
弁護士が代理人となって任意交渉しても、貸金業者が返還の条件に応じない場合は、最終的には訴訟にまでもつれ込む事となります。
訴訟となると、これもまた自分で対応するのはかなり難しくなります。過払い金返還請求は始めから、債務整理に強い弁護士に依頼するのが得策と言えるでしょう(訴訟までもつれ込んだ場合、司法書士では対応ができません)。
【過払い金請求のデメリット(ブラックリスト)】
借金返済中期間の方が過払い金返還請求をして、返還後もなお債務が残るような場合については、そのまま任意整理状態となってしまうため、個人信用情報機関(いわゆる「ブラックリスト」)に自分の評判の良し悪しが事故情報として記録されてしまいます。
日常生活には支障はありませんが、これにより数年間はクレジットカードの作成や新たな借入をすること、ローンを組むことなどが難しくなるでしょう。
先述の通り、過払い金返還請求を自分自身でやること自体は全く問題ありません。自分の過払い金請求であれば、弁護士でなくともご自身で請求することが可能です。
しかし、自分自身で過払い金返還請求を行うことはリスクが高いです。以下、どのような問題が生じうるか考えてみたいと思います。
過払い金返還請求をするためには、まず、自分自身の借金の履歴を確認しなければなりません。
そこで、借入をした履歴のある消費者金融などに、取引履歴の開示請求を行ないます。
これは弁護士ではなくてもすることができます。万が一開示請求を拒否すれば、貸金業法違反となり営業停止や登録取消などの恐れもあるため、たとえ弁護士からの開示請求ではなくても金融機関としては応じなければなりません。
しかし、取引履歴の開示請求については、貸金業者側は拒否できませんが、開示されるまでにかかる期間についてはまちまちです。
これは、本人の取引の期間や貸金業者側の帳簿などの保管状況、管理体制などによっても異なるため一概にどのくらいとは言えません。
ただ、弁護士を立てずに行なった場合、相手側が即座に対応せずに引き延ばす可能性が考えられます。
そのため、自分でやる場合は早く対応してもらえるよう、およその見込みを確認するとともに、万が一開示が遅れた場合は必ず催促をするよう心がけましょう。
取引履歴が開示されたら、今度はその情報を基に引き直し計算を行い、過払い金の金額を割り出します。
この計算がかなり複雑で面倒なため、自分自身でやろうとするとかなりの確率でミスが出ます。
最近では過払い金を計算するソフトなどもあるようですので、そういったものを駆使すれば自分自身でもできなくはないですが、一つ大きな問題があります。
大手の消費者金融ではありませんが、小規模な業者ですと未だに開示請求に応じなかったり、応じたとしても「借換え隠し」をするケースがあるのです。
「借換え隠し」とは、借換え、借増しの前の取引や、一度すべてを完済したあと再度借入をしたような、取引に「空白期間」が生じる場合に、その完済前の取引履歴の開示をせず、再度借換えして以降の情報しか開示しないというやり口のことを言います。
このような場合は、自ら交渉してもなかなか開示が実行されないため、弁護士に依頼して代理で交渉してもらった方が良いでしょう。
また、どうしても開示がされない場合は、自分自身の記憶を頼りにして過払い金を計算して行くしか方法がありません。
これを推定計算と言いますが、推定計算によって算出するためには、過払い金返還請求に対するそれなりの知識と経験が必要なため、やはり弁護士に相談することをおすすめします。
自分自身によってなんとか過払い金を計算できたとしても、自分一人でやっていると確認してくれる人がいないため、計算ミスが出る可能性があります。
万が一、計算ミスがある過払い金返還請求書を貸金業者側に送ってしまうと、思わぬ反論を許してしまう恐れがあります。
貸金業者側はなんとかして過払い金の返還を回避する方法を探しています。そんな中、計算ミスのあるような過払い金返還請求書を送付してしまうと、相手の思うつぼです。
過払い金返還請求をする際には、計算ミスは許されないということを肝に命じましょう。
実際の過払い返還請求は、貸金業者側との交渉です。ここではかなりの駆け引きが行なわれます。
貸金業者の多くは、債務者自らが起こしてきた過払い金返還請求についてはまともに相手にしないケースが多く、書面を送っても直ちに返還されることはほとんどないでしょう。
また、相手は交渉のプロですので、素人相手ですとあの手この手で丸め込もうとしてくる可能性があります。うまく言いくるめられてしまったは、正当な額の過払い金を回収することはできません。
過払い金返還請求は、請求書をただ郵送して返還してもらえるほど甘くはありません。返還を受けるには、ハイレベルな「交渉」が必要になるということを覚えておきましょう。
個人様・法人様を問わず、相当件数の借金問題を解決してまいりました。
個人様・法人様を問わず、相当件数の借金問題を解決してまいりました。
過払い金返還請求権には、消滅時効(期限)というものがあります。つまり、完済から一定期間が経過すると時効により消滅してしまうため、過払い金返還請求ができなくなってしまうのです。
そこで問題になるのが、2020年までに施行される民法の改正です。
改正後の消滅時効の起算点については、以下の通り規定されることになります。
これを額面通り受け取ると、「過払い金に対して返還請求することができることを知った時から5年」で、返還請求権が時効により消滅してしまうことになりそうです。
しかし、「施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、なお従前の例による。」という、法律附則10条4項の規定があるので、施行日前に債権が生じた場合については、従前の消滅時効が適用されます。
したがって、現在のところ過払い金返還請求権の消滅時効は、「借金の完済時から10年」に変わりありません。
過払い金は返還請求をしない限り、貸金業者のほうから返還してくれることはありませんので、必ず期限内に請求をする必要があります。
また、もう一つ問題となるのが、借入と返済を継続的に繰り返している人の場合、どの時点から10年と考えるかで争うケースがあります。いわゆる「取引の分断」の問題です。
あまりにも取引期間が離れている場合などは、別の取引として扱われて貸金業者から時効を主張される可能性がありますので、注意が必要です。
プライメックスキャピタル | アコム | アイフル |
プロミス(アットローン) | レイク(新生フィナンシャル) | オリコ(オリエントコーポレーション) |
アプラス | sfコーポレーション(三和ファイナンス) | CFJ合同会社 (ディックファイナンス、アイク、ユニマットライフ) |
セディナ | モビット | ポケットカード |
クレディア | 日本プラム | セゾンカード(クレディセゾン) |
ニコス(日本信販、三菱UFJニコス) | イオンクレジット | エイワ |
ネットカード | エポスカード | ジャックス(過払い金の問題はほとんど無し) |
アエル・武富士(倒産) |